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即今只今(そっこんただいま)

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瀧本湖久 伊賀花入

建仁寺管長 小堀泰巖 色紙『即今只今』

毎月の茶陶の大家・S先生とお茶人の奥様の『魚仙定例会』。先日も座敷の設えをしていたのですが、この時期は山へ入っても花がありません。庭の椿も少し早くてまだ蕾も固く「どないしよう・・・」と店の周りをうろうろとしていますと、バカっと割れた石榴の実がありました。山で採ってきた草花となんとか合わせて場を整えました。

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花入は瀧本湖久さんの伊賀の面取。土の塊を面取っていって真中を少し刳り貫いた作品ですので、かなり重いです。しかしこれほど激しい焼きの景色をつけるとなると窯の中で炎に耐えられるだけの作品の仕上げにしておかないとヘタってしまうのでしょう。窪みにたまったビードロも美しくなんともいえない表情をみせてくれます。

143_4307 床に掛けたのは建仁寺の管長・小堀泰巖氏の色紙。『即今只今(そっこんただいま)』と書かれています。(今現在にしかない。今ここの場所にしかない。)(今を意識して己で判断せよ。今どうあるべきか。)という意味だそうです。今日の花はこの言葉通り『即今只今』でした。

143_4306 朽ちかけた石榴でもこの色の美しいこと!!やはり自然のものには強さがあります。この石榴のおかげで床が落ち着きました。

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きのこ~その参・しゃかしめじ~

142_4261 藤田長夫 粉引片口  

       長石釉徳利 刷毛目ぐいのみ

伊賀の常連さん・Mさんから“しゃかしめじ”が届きました。お電話で「ヒロキゃあ~、“しゃかしめじ”上がったでぇえ、届ちゃるわさなぁ~あ。」とご連絡があって、(しゃかしめじってどんなんやろ?はたけしめじのことやろか?)と考えていたのですが、まったく別のものでした。

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“しゃかしめじ”の“しゃか”はお釈迦様の“釈迦”だそうで、お釈迦様の頭の感じとしめじの(笠)の部分が似ているからこう呼ばれるそうです。普通の山しめじよりも茎の部分が少し空洞になっていて香りもそんなに強くないのですが、歯ごたえはありました。

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歯ざわりを活かして、ぜんまいのように炊きました。薄揚げを刻んでもう一度高温の油で揚げ、油抜きしたものを合わせました。精進料理でも油を使いますと体の中でエネルギーになり力が出ますので、湯葉や麩を揚げたりすることはよくあります。『しゃかしめじのカラ煮』の出来上がりです。

142_4258 器は藤田長夫さんの粉引の片口。片口の器は藤田さんお得意のもので、この小鉢も注器としても十分に使えます。やわらかな釉調も藤田さんならでは。飾らない料理をさりげなく受け止めてくれます。

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料理展示会

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篠原希 信楽陶匣

今月の16日と17日に草津にあります(イオンモール草津)におきまして、『第16回 滋賀県料理展示会』が開催され、私ども魚仙も甲賀支部として参加させていただきました。

前々回までは私が魚仙の代表として料理を作って展示をさせていただいていたのですが、前回からは魚仙の若手スタッフにチャレンジしてもらうことにしました。前回の高島支部主催の展示会では、うちの日吉君が(調理師協会長賞)をいただきましたので、今回は後輩の神宮司君が気合いを入れて挑むことになりました。

日が近づいてきますと、神宮司君は参考になる本を見たり、材料を確認したりと休憩時間を惜しんで準備仕掛けていました。大会前日は店が定休日でしたので、ひとりで調理していました。夜の8時過ぎに「ヒロキさ~ん、確認してほしいんですけど~・・・。」と私に連絡があり材料をチェックしました。当日は急なお弁当の注文があって神宮司君は搬入できなくなってしまったので、私が預かって朝一でイオンモールへと急ぎました。

142_4265 到着した会場には既にたくさんの料理屋さんやホテルの調理師の方々でいっぱいでした。展示スペースに早速セット仕掛けます。展示料理には乾燥を防ぐため防腐剤の入ったゼラチン液を表面に刷毛で塗りつけます。それでも時間が経つと変色してきます。今回の神宮司君のは少しゼラチンが薄いように思い「大丈夫かなぁ・・・。」と少し心配になりました。しかしながら料理そのものの色彩が目に映りますので、「まあ、ヨシとしよか!!」展示を終えてよその展示も気になりますので会場内を徘徊。すし組合の青年部でもご一緒させていただいている湖鮒会のメンバー・吹田さんや平井さん、谷邨さんや中村さんの細工寿司はさすがにいい仕事でした。他にもホテルの方々の素晴らしい料理展示もあり、感心してうちの展示スペースに戻ってきますと、人だかりが出来ていてビックリ!!写真を撮っておられる方もあり内心「やったな!!神宮司!!」と我がことのように嬉しくなりました。甲賀支部の役員さんにも「手の込んだことしてもろて・・・。」とお礼をいただきました。いえいえ、私は今日は運び屋ですさかいに・・・。

142_4266 迫力のあるこの器は篠原希さんの信楽陶匣。蓋の上には自然釉がたっぷりと掛ってビードロが美しく出ています。陶匣は篠原さんのお得意の造形でライフワークになっているといっては語弊があるでしょうか。カッコのいい作品です。今回神宮司君にアドバイスしたのは、「チマチマした料理を盛ったらこの器には負けるよ。」ということでした。本人は“紅葉狩り”のようなものをイメージしてたようですが、最終的には(山守人・仙人)の宴のようなイメージで完成させました。ですから料理名は『山守り(やまもり)』です。

143_4308 二日目は神宮司君に撤収に行かせました。休憩時間を早めにとらせて会場へ向かわせました。やはり他の店の展示も見てもらって勉強してもらいたかったので。本人も刺激を受けたらしく、「勉強になりましたぁ~。」でもお前、それなんやねん!?展示の時の色紙と頂いた盾を自分のまな板の前に立てて仕事しています・・・?「料理の展示が終わったので、今度は僕の展示ですぅ。」・・・(苦笑)

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きのこ~その弐・ねずみあし~

142_4248 ねのひ氏 灰釉徳利 鈞窯ぐい飲み

阿閑亭 自作 粉引割山椒

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今回のきのこは“ねずみあし”です。別名“ほうき茸”ともいいますが、ご覧のようにハツカネズミの足のようでしょう?先は細いので食感はえのき茸のようですが、風味はやはり野山を感じさせてくれます。主に焼いたり炊いたりして食べますが、今回は茗荷と秋豌豆と一緒に胡麻味噌和えに仕立てました。

142_4250 “ねずみあし”はサッと炊いて煮びたしにします。茗荷は甘酢に漬けて。秋豌豆は塩ゆでにして冷ましておきます。胡麻はあたり鉢(すり鉢)であたって(擂って)あわせ味噌と砂糖、醤油で味を調えます。三種の具材をさっくりと混ぜて盛りつけます。

142_4253 徳利とぐい飲みは、カウンターの常連さんで焼物好きの『ねのひ氏』の“作品”です。『ねのひ氏』の本業はお医者さんで、趣味で陶芸を嗜んでおられます。仕事の後もお休みの日もひたすら轆轤に向かわれているそうで、奥様曰く「だんだん家の中に“やきもん”が増えていく」そうで、御熱心なのが窺えます。うちにもよく“作品”をお持ちいただいて使わせていただくのですが、お酒がお好きなこともあってか(酒器)が多いんです。徳利は初めはご本人曰く「減らずの徳利」で、お酒が中に無くても入ってるかと思うほど重かったのですが、最近は本当にお上手になられてこの徳利もなかなかいい味を出しています。

142_4254 ぐい飲みは鈞窯のように窯変した見込みの面白いものです。お酒が入るとゆらゆらと水面が動くように見え、酔いも早くなってきそうです。手取りが少々重いのはご愛嬌。『ねのひ氏』曰く「安定感があるやろ!」ですって!?先生、モノも言い様ですなぁ・・・。

142_4250_2 胡麻味噌和えの器は、私の愚作。『ねのひ氏』とは遊びの中でお出しさせていただくこともあります。“とうしろう(=しろうとう・素人陶)”繋がりということでお許しを・・・。ちなみに『ねのひ氏』の(ね)はねずみの(子)。ねずみ繋がりで・・・。

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きのこ~その壱・はたけしめじ~

142_4244_2 黒釉輪花小鉢

辻村唯 粉引徳利 輪花盃

142_4229 今年は松茸が豊作で信楽でもたくさん上がりました。うちの店にとってもありがたいことですが、松茸が豊作ですと、もうひとつうちの店にとってありがたいことがあります。それは“雑茸”も豊富に上がることです。“雑茸”ともうしましても色々あるのですが、いくつかに分けてご紹介させていただきます。まずは“はたけしめじ”です。

142_4230 天然の山しめじのひとつですが、信楽の人はこう呼びます。本当に香りもよく歯ごたえもあって、「香り松茸・味しめじ」はこの“はたけしめじ”にかかりますと「香りしめじ・味しめじ」になってしまいます。実際、土瓶蒸しに仕立てましても、ほんまに美味い!!「香り松茸・味しめじ」は、しめじの(自己弁護)とは決してこいつは言わせません!!

142_4245 今回はさっと煮びたしにして三つ葉をあしらいました。仕上げにすだちをギュッと搾って。器は昔から店にある黒い輪花の小鉢。たぶん型ものの量産品だと思いますが、見込みやラインが使いやすくてよく(お通し)で使われる器のひとつです。どこの産地とか窯とかは解らないのですが、どなたかこの器をまるっきり(写して)作ってくれはる方はいらっしゃらないものでしょうか?それくらいお気に入りの器です。

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あわせた酒器は奈良の辻村唯さんの作品です。“輪花”つながりで、自然釉の盃を添えました。シャープさの中にもやわらかさがある、唯さん独特の造形です。粉引の徳利も灰が降灰していて景色になっています。たっぷりと入る徳利は私好みでカウンターのお客様にも人気の徳利です。

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ネルさんの話

142_4216 Nel Bannier(ネル・バーニアー)

Sushi Plate

3年ほど前のことです。

ある冬の夜、外国人の男性と女性のお客様がご来店くださいました。お食事のあと抹茶と菓子をサービスさせていただいたのですが、お二人ともその茶碗が気に入られたようで欲しいとおっしゃいます。実はその茶碗は、私が手すさびで作ったもので結構気に入っていたのですが、欲しいといわれるとこちらもうれしくなってついつい調子にのって差し上げました。私の拙いヒアリングでかろうじてお聞きしますと、お二人とも陶芸家で陶芸の森に滞在されているとのこと。男性の方はジャックさん。そしてオシャレな眼鏡が印象的な品のいいご婦人がネルさんでした。

142_4217 後日、スタジオへお邪魔してその当時制作されていた大きな人足のオブジェを拝見させていただいた時は、この人のどこにこのようなパワーがあるのかと、ご本人と作品とのギャップに驚かされました。

当店でお好みだったものは寿司と煮物。和食は全般的にお好きだったようですが、お肉や油っこいものは苦手なようでした。うちの店のこともよくご存知で、スタッフやアーティストの方々が大勢集う食事会があった際、世話役の方が大人数で部屋の心配をされていたところ、ネルさんが「一階の奥に大勢入れる部屋がある」と助言をされ、「ヒロキさん、ほんまにそんな部屋あるの?」と世話役の方が確認されるほど店の内部まで熟知されている、自他共に認める『魚仙フリーク』のお一人でした。

142_4218 帰国される際に、「ネルさんは魚仙のメンバーですわ」と、私共が調理時に着用する魚仙ネーム入りの白衣をプレゼントさせていただきました。お返しにと陶芸の森で制作された『Tea cup japanese style』という日本の煎茶器を思わすカップとソーサーをいただきました。

うちに“嫁入り”したその器は、いまでもときどき取り出しては酒の肴を盛ったりして楽しませていただいている、私の大切な宝物の一つです。

142_4220 さて、ネルさんのところに“嫁入り”した私愚作の茶碗は、オランダの薫風に吹かれて今ごろどうしているのでしょうか。

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