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秋月の皿

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小川顕三 銀彩武蔵野皿

今月の点心より。昨日は魚仙のスタッフで京都へ試食研修会に行ってきました。お世話になったお店は府庁前にある『京料理 かじ』さんで、リーズナブルな価格でしっかりとした会席料理を提供されることで評判のお店。雑誌『あまから手帖』などにも紹介されている人気店です。若いスタッフの子は試食研修会自体が初めてでしたので、緊張しているのがわかって何やおかしな感じでした。お料理も一品ひとしな手のかかった物ばかりでとても勉強になりました。御主人の梶さんとも御挨拶でき、少しお話もさせていただけましたので有意義な研修会になりました。一番最初に出された「八寸」は、季節感たっぷりで菊の意匠の器にとりどりの食材が盛り込まれ、あしらいにも菊の花葉やもみじの葉が使われており、うちの八寸場の神宮司くんも感心することしきりでした。

141_4187 魚仙の料理の「八寸」も、コースの中ではもっとも季節感をあらわす料理ですので、力を入れさせていただいております。今月の『季節の点心』の八寸は、(松茸と菊菜の浸し)や毬栗に見立てた(いがぐり揚げ)、(川海老の揚げ物)は琵琶湖産や四万十川産のもの、銀杏など季節感のあるもので整えました。

141_4188 器は小川顕三さんの銀彩を施した秋の器。武蔵野の彫文に“牡丹餅”で満月が抜いてあり、この時期にぴったりの器です。この意匠は魯山人の器にも見られるもので、“魯山人写し”の得意なケンゾーさんの真骨頂な器のひとつです。

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徳利名人

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紅吉野椀  辻村史朗 志野ぐいのみ

篠原希 信楽徳利

今月の点心より。伊賀上野からお見えいただくお客様のM様は、うちの白味噌汁のお椀をものすごく楽しみにしてくださっています。魚仙では秋口から春先まで白味噌汁のお椀を仕立てさせていただくことが多いのですが、M様は秋に御来店いただきますと「やっとこの時季になりましたねぇ。」と笑顔で暖簾をくぐられます。私どももご期待に添えられるように(美味しい白味噌を・・・)と、精一杯務めさせていただきます。M様の御子息はお茶を嗜まれておられ、お稽古の後お仲間とお食事にお見えいただいたこともあり、御家族で御贔屓に賜っております。M様ご一家は、季節感と美味しいものの時期がお分かりになっている嬉しいお客様です。

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今月の点心の椀物は白味噌仕立で、椀種はいちぢくの酒蒸しです。いちじくの皮を剥いてバットに昆布を敷いて並べ酒を降りかけて蒸します。ご覧のように色が出てワイン煮のように仕上がります。なめこを脇に、溶き辛子を添えてお出しさせていただきます。

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朝夕が肌寒くなってきたこともあり、この時期には暖かい日本酒が嬉しいのでは。白味噌汁にも燗酒はよく合います。徳利は最近手にした篠原希さんの作品。3度ほど窯に入れて焼かれたそうで、窯変が美しい徳利です。信楽の焼締めの徳利はいろんな作家さんの作品を使わせていただいてますが、個人的な好みを申しますと私は篠原さんの徳利が好きです。以前の篠原さんの徳利は轆轤の動きが(ありすぎる)徳利が多かったように思うのですが、ここ数年は落ち着いた雰囲気の(弄りすぎていない)徳利が呑兵衛の心をくすぐります。信楽の焼締め作家の中では『徳利名人』のお一人ではないでしょうか。これからもいい徳利を生み出し続けていただきたいのですが、それに伴って私の酒量もますます増え続けていってしまうのが目に見えて気になるところではあります・・・。

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お月見

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辻村史朗  軸『月』

藤田長夫  刷毛目叩き大皿 銘『朧月夜』

ダレン ダモンテ  三島高台鉢

毎年9月の第3木曜日には、魚仙の年間催事のなかでも最大の催し『月見の宴』がおこなわれます。9月に入りますと料理の献立や座敷の設え、当日の演出などをスタッフ一同で綿密に計画をたてて準備にかかります。料理も毎年1~2品は新しいものを組み入れ贅沢感のあるコースに仕立てます。座敷も舞台を組み、当日は京都の宮川町から芸子さん、舞妓ちゃんの綺麗どころをよんで、三味や笛の音に合わせての舞いを楽しんでいただきます。今年は津軽三味線の演奏もあり、たいへん華やかで賑やかな宴の夜になりました。

華やかなお月見も賑やかで楽しいものですが、月の幽玄さを楽しむ、そんな月見もいいものです。昨日はいつものように茶陶の大家・S先生とお茶人の奥様の『魚仙定例会』。茶人好みに遊びを入れてこんな設えにしてお迎えしました。

142_4203 藤田長夫さんの大皿を立てて飾り、前に芒を束ねて供え物のようにダレン ダモンテさんの器に添えました。藤田さんはご本人言うところの“食器 屋”で、このような大皿の作品はめずらしいのですが、個展会場で一目見たとたんにその“景色”が気に入って、『朧月夜』の銘が思い浮かび手に入れました。

142_4204 軸は辻村史朗さんの『月』。これもまた朧月夜のお軸で、「山月隨人帰 我酔君復楽」の詩が書かれています。「山月モ人ニ隨ウテ帰ル 我酔ウ君マタ楽シ」、李白の詩の一節を組み合わせたものだと思いますが、幽玄の月にはもってこいのお軸です。

S先生もお茶人の奥様もお気に召していただけたようで、「ボン、お軸もお床もよろしいえぇ。」とお褒めいただきました。毎回緊張の一瞬ですわ。

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春斎さんの器

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高橋春斎  信楽割山椒向付

今月の点心より。朝晩めっきりと寒くなりました。昨日から『季節の点心』の献立も変わり、料理も秋色の景色になりました。信楽はこの10月1日から11月23日まで信楽陶芸トリエンナーレ2010『信楽まちなか芸術祭』が開催されます。信楽の街全体を使った大規模な催しで、期間中5つの会場で多彩なイベントがおこなわれ街中でもさまざまなおもてなしが用意されています。魚仙も“おもてなし店舗”として参加させていただいており、今月の点心の献立も“トリエンナーレ仕様”にさせていただいております。

141_4182 その一つが向付の器。滋賀県無形文化財保持者の高橋春斎先生の器に鯛の細造りを盛らせていただいてます。春斎さんの器は使い手のことを本当によく考えて作られていて、縁や高台の仕上げも滑らかで料理を盛る見込みの部分も広くとってあり、料理を盛ってひとつの景色が出来上がるよう(つくり込み過ぎていない)器としての役どころをしっかりと押さえた作品です。焼締めの食器は扱いに手間がかかって家庭でも料理屋でも敬遠されがちですが、春斎さんの器はそういうところもクリアされた本当にいい器で、私が思いますには信楽で焼締めの器を作らせたらおそらく一番ではないでしょうか。

141_4184 春斎さんの向付はひとつ、またひとつと少しずつ買い求めたり、またいただいたりしたものですので数も形も様々です。10月は“名残り”の時季ですので“寄せ向”として楽しんでいただければと思います。御来店いただいたお客様にはどの向付がお伴させていただくでしょうか。

『信楽まちなか芸術祭』の期間中、陶芸の森では特別展『しがらきやき~直方の茶陶・春斎の壺~』が催されており、魚仙の“旗印”である“あの”壺も展示されております。先日オープニングに出席させていただいてきたのですが、展示されたうちの壺をみて、我が子がえらい出世したようなそんなおかしな気分になりました。

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