印籠

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井戸徳利  杉本 貞光
染付ぐい呑 村田  森
笹文長皿  産地不詳


先日、愛知のお客様・Iさんが御来店くださいました。
Iさんは並外れた焼物狂でお持ちになっているものも
桁違い!!私なんぞ到底足元にも及ばない凄い方なんです。
人間国宝や骨董から、若手作家や無名の新人まで
気に入った物は片っ端から手に入れるという、
まぁホンマに「好っきゃなぁ…」と感心してしまいます。
そのIさんがうちにおみえになったら必ずご所望されるのが
この杉本貞光の井戸徳利。ある焼物の本の表紙にもなった
〝知る人ぞ知る〟名品です。
ご縁があって手に入れることができたのですが
本の表紙になったことを御存知のお客様もやはり
何人もいらっしゃって、カウンターの後ろに置いておくと
「あの徳利、どっかで見たなぁ」 「本に載っていた徳利じゃないですか」
とお尋ねいただくこともしばしばです。
Iさんもついつい何杯も盃を重ね、
「ちょっと大将、一休みしてからまた巡るわ」と深酒ぎみで
店を後に。
その日は笹イカが入りましたので炊いて寿司飯を詰めた
〝いかの印籠詰め〟をお出ししました。
印籠詰めとは寿司飯を詰めたイカが筒状になりますので
水戸黄門の印籠に見立ててこういう名前がついたそうです。
Iさんにも御満足していただけたようでした。
Iさん曰く、「大将、この徳利のほうが印籠だね!
これが目に入らぬか~って(笑)」
御所望のお客様はご予約時にお申し付けくださいませ。

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卯の花

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信楽火色向付  加藤 隆彦

おからとは大阪の言い方で京都では〝卯の花〟
と言います。さすがは古都。
上品でええ名前ですわ。
おからで材料を和えたものを〝卯の花和え〟とか
〝卯の花まぶし〟と言いますが、大阪では〝からまぶし〟
と言うそうです。飾らへんところが大阪らしくて
まぁよろしいやん、と思うのですが、
おからは安うて美味いところがええと思います。
賄いでもよくおからとひじきの炊いたんが出ますが
私はちょっと残しておいて晩酌のアテにしますねん。
鯖とおからは昔からの出会いもん。
卯の花で〆鯖を和えて紅しょうがを添えると
どうです?品のええなますの出来上がりです。
器は加藤隆彦さんの火色の綺麗な向付。
隆彦さんは造形力のある作家さんで斬新な
信楽焼を制作される方です。
花入れや壷にも従来の信楽にはなかった形を
表現し発表されています。
この小さな器にも隆彦さんの〝手〟が
表現されている。。
そんな風に私は思います。
ご所望のお客様はご予約時にお申し付け下さいませ。

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100点満点

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灰釉たたき長皿  藤田 長夫



先日いつものお茶人の奥様が
ご来店いただいた時のこと。
昨年の末におみえいただいた際
「ぼん、新年会は蟹と河豚え」と
リクエストいただいておりましたので
メインは蟹と河豚。
中でも私といたしましては
絶対お召し上がり頂きたかったのが
この蟹シャブ。
カウンターのお客様には時々
お出ししていたのですが
お座敷のお席となるとタイミングがちょっと…
と思いました。
しかし〝美味いもんを召し上がっていただきたい〟
という料理人としての欲求が勝ち
ドンピシャの間合いでお出しする事が出来ました。
しかしカメラをかまえていたのがうちのスタッフ。
私の剣幕に恐れおののき3つ目の写真がピンボケ。
申し訳ございません。
器は藤田長夫さんの、御本人曰く秋刀魚皿。
秋刀魚を食う為に焼いたと言われた長皿です。
秋刀魚と違って蟹でも色合いや間合いが
ええ感じですやろ?
この皿、成形する時に秘密がありまして・・・
こんな薄くて強いタタラの皿、他にはありません。
私、実はこの秘密を知っているのですが、
コレは内緒内緒。。。
御所望のお客様はご予約時にお申し付けくださいませ。

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花日器=はなにっき=

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信楽旅枕花入  飯山 園子
銘『ひざまくら』  



冬の季節に合う枯れた感じの花入れが欲しくて
ずっと探していたのですが、
ようやく出会うことが出来ました。
飯山園子さんの旅枕です。
飯山さんは制作から数日に及ぶ窯焚きまで
一人でこなしてしまう作家さんです。
〝まさか穴窯を焚く時まで……〟
と思っていたのですが
正真正銘ホンマに一人でやるらしいのです。
大壷などにも古信楽のような景色をまとった
いい作品があります。
この旅枕はビードロもなく〝かせた感じ〟がいい。
冬枯れの景色を思わす作品で
掛花にも使えるようにお願いして
金具もつけてもらいました。
木蓮の新芽が出てきてましたので
山で採ったいばらの実と白玉をあわせました。

~旅枕 花にかさねし娘を夢に 
      酔いてうつつの よきひざまくら~  阿閑亭


山に入った際、大きな氷柱を見つけました。
こんな大きい氷柱、ホンマ久しぶりに見ましたわ。
あ~さむ~・・・

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七運盛り

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唐津風鉢  山村 秀和
井戸徳利 信楽ぐい呑  辻村 史朗


正月の月の献立によく登場するのがこの炊き合わせ。
根菜類が美味しい季節ですので盛り合わせました。
七運盛り。
わかります?
野菜の名前をひらがなに直してみてください。
なんきん・れんこん・にんじん・だいこん。
『ん(運)』が七つありますやろ。
昔からある〝遊び〟みたいな料理ですが、
しっかり旬のものを使こうてる所が
今まで続いて残っているんやと思います。
器は山村秀和さんの唐津風の鉢。
この鉢はある程度の深さがあって
見込みが広いので汁気の料理でも使えます。
それよりも注目すべきところは口縁です。
少しばかり内側へ抱え込んでいるところ。
これで温かい料理を盛ると温かさを
外へ逃さないように見えます。
釉薬の色の渋さと形はこの器が冬用の器として
意図して作られたように思うのですが、
山村さん、いかがなものでしょうか?(笑)
ぐい呑は10年以上前に焼かれた信楽です。
ご所望のお客様はご予約時にお申し付け下さいませ。

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金時の赤

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鬼桶向付 高橋 春斉

寒い季節にはお通しも温めてお出しする事があります。
そういう時はだいたい銀餡を使って
上からかけるのですが、ちょっと贅沢に
蟹のほぐし身を入れることが多いんです。
今日も温かいお通しを出そうとして
器に盛りつけてますと人参の赤色が
ものすごく綺麗に見えました。
冬場は京人参と言われる金時人参を使いますが
普通の人参に比べて赤い色が深くて鮮明です。
今日は金時人参の赤を活かして蟹身はやめにしよっと。
その代わりといってはなんですが、
カラスミを粉末にしたものを上がりにふりかけました。
これまた贅沢です。
器は高橋春斉の鬼桶型向付。この器は私が
「こういう感じで作ってください。」と
春斉先生にお願いしたもの。
春斉先生も「なかなかおもしろそうやな」と
乗り気で作っていただいたみたいです。
出来上がったときも「にいちゃん、これなかなかええで。
さっきも業者が来てて同じもん注文して帰ったわ。」
と言うてはりました。
口縁を少し厚めに成形しその真ん中に1本筋を入れて
一周してあるの、わかります?
こうすると薪の灰がかかった時に
その筋に溜まって景色になるんです。
こういうところが春斉先生の心憎いところです。
さすがやなぁ・・・先日も図書館でお見かけした際
ご挨拶させていただきお元気そうで嬉しかったです。
ご所望のお客様はご予約時にお申し付け下さいませ。

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酒器其の十三

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刷毛目徳利 福森 雅武
斑唐津ぐい呑 辻村 塊



年末伊賀の書店でいい雑誌を見つけて購入しました。
『ふでばこ』という道具の文化を考える本で、
今回は伊賀・丸柱の土楽さんの特集が組まれていました。
(それも80ページに渡り!!)
土楽さんお鍋や器は以前から何点か店でも使っていましたし
大好きな窯元だったのですが、この本を読み終えて
より一層魅力のある窯元だったと自分の中で
再確認いたしました。
私はなんでもすぐに影響されてしまいますので(笑)
年末年始の私の使う徳利は
土楽さんのものになってしまいました(笑)
福森雅武の刷毛目徳利。
土楽さんの器には窯元の工房のものと
福森雅武さん自身のものがあります。
この徳利はご本人の作。
月刊誌の特集や料理の本で見るたびに
「ええ徳利やなぁ」とずっと憧れていたもの。
縁あって手に入れることができたときは
ず~っと使っておりました。
土楽さんも本の中で
「道具みたいなもんはしょっちゅう誰かが
いじくりまわしてないとよくない。
ガラスケースに入ってしまうとたちまち
顔色が悪くなってしまう。」と言うてはります。
この徳利、見てください。
ええ顔色してますやろ?
ぐい呑は奈良の辻村塊さんの斑唐津(まだらからつ)。
独立されて間なしの作品です。
私の持っている唐津系のぐい呑ではピカイチ!!
ですからこのぐい呑の銘は『とっておき』です。
見込みの景色が見事でまさに斑=曼荼羅です。

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鶴は千年亀は萬年

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銀彩丸皿 産地不詳
粉引盃  神埼継春



お正月らしいお寿司を一皿。
鶴亀のにぎりすしです。
私は細工寿司ってあまり好きではありません。
ごちゃごちゃと手でいじくってると…あんまりねぇ…
でもパパッと作れるこんな細工寿司ならええかなぁ
と思いますねん。
鶴は烏賊で作ってます。くちばしは胡瓜。
目は胡麻。頭のてっぺんはイクラです。
尾っぽの黒いところは海苔を挟んで握ります。
亀はイクラ。尻尾は扇面の胡瓜。頭はわさびです。
器は昔からうちにある銀彩の丸皿。
どこの産地の物かわかりませんが、
料理が盛り栄えするのでよく使います。
そうそう、ずっと前のTVコマーシャルで
おはぎの有名な店がこの器と同じような皿に
3色おはぎを盛り付けていたのが放送されてました。
私はひそかにこの皿を『丹○屋』と銘々しております。
盃は神崎継春さんの粉引。
見込みに『丑』の字が刻まれております。
継春さんは食器名人。
こんな小さな盃にも口当たりやバランスを
考えて作られていますので
お酒がスーッと口に入ってくるんですよ。
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鰤正月-ぶりしょうがつ-

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青九谷扇面向付


あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
お正月ですので、今月の点心は向付けから
初春らしい仕立にいたしております。
鰤正月って言葉、聞かはった事ありますやろ?
鰤は出世魚。成長するにつれ、呼び名が変わり
成魚がぶり。『寒鰤』といわれる様に
冬の魚ですのでちょうど出世魚と正月をかけて
めでたい魚とされています。
今回は『いしる鱠』と称して向付けにいたしました。
いしるとは能登地方の魚醤。
ベトナムのナンプラーのようなものですな。
そのいしるをかぼすの絞り汁などと合わせました。
器は青九谷の扇面向付。これは修業時代に京都の
道具屋さんで見つけたもの。
10客づつ絵替りで出ていたのですが、
なんせ知識のない若輩者。
しかしながら店主の「わかいうちにこういうモノは持っとき。
この先、まとめてこんなもん出てこうへんねんから。」
という導きにつられ購入したもの。
その頃はええも悪いもあまりわからへんかったのですが、
ここ近年の道具屋市場を見ますと
あのご主人の言葉が分かったような気がします。
ドキドキしながら買ったあの頃の自分が懐かしくおかしく思います。
器も素材も調味料も北陸揃い。
信楽焼けどめでたごとでまあ、よろしいやん。
ご所望のお客様はご予約時にお申し付け下さいませ。

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三筋壷(さんきんこ)飯椀

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灰釉三筋文飯椀   川口隆之


古い常滑の壷に『三筋壷』というものがあります。
胴に文字通り3つの筋目が入ったもので
古常滑特有の灰釉が流れていて骨董の世界では
かなり高額で行き来するものです。
私は美術館や骨董屋さん等で目にしてきては
その美しさに何度心を奪われたことでしょう。
先日店で「飯茶碗がそろわない」という話になり
注文する事になりました。
以前から灰釉(ビードロ)の飯椀なんかええなぁ
と思っていましたのでその線で行くことに。
その時にふっと頭に浮かんだんです。
〝三筋壷を飯椀にできひんやろか…〟
三筋壷の灰の流れをビードロに見立てて
信楽の土味を出して・・・
とどんどん想像が固まっていきデザインが決まってきました。
胴に入れる筋文も外側に二ヶ所、内側に一ヶ所で三本。
灰釉も何種類かテストしてもらい焼きあがったのが
こちらなんです。
白道窯(はくどうがま)の川口隆之さんの作。
川口さんはほんまロクロの上手い作家さんです。
基本に忠実な技術で〝見せられる〟
数少ない陶工の一人です。
ご本人は「ワシは職人やで」と言わはります。
窯業試験場の研修生の時には
北村寿三氏、故奥田陶器夫(ときお)氏という
今や伝説の陶工の指導を独り占めで受けられたとか。
ご飯は今月の点心より若布とじゃこのご飯。
年末の月、一年のケリを白黒はっきるつけるという意味で
このご飯にしました。
たかが『飯椀』と思うなかれ!!
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